緑は悪魔の色とされている。ベリルとは、緑柱石から作られる宝石の総称だ。そして、レジデントは「居住者」を意味する。
「悪魔の器」と名付けながら、科学者たちは彼に何を見て、何を託したのだろうか。
自分たちのした研究は、間違いではなかったのだと思いたかったのかもしれない。人は皆、同じであると証明したかったのかもしれない。
その真意は定かではないが、彼らが夢見たものはベリルの中に生き、それはいま永遠となった。
<よし、撤収だ!>
地下から上がった仲間を全員、確認したジェイクが意気揚々と完遂の宣言をした。
「ベリル。またな~」
「次も俺を呼べよ!」
「楽しかったぜ」
仲間たちは口々に去って行く。
ベリルはそれらを見送り、同じく隣で仲間たちの見送りをしていたジェイクに視線を移す。
「報酬は振り込みでな」
「うむ」
そう答えつつ、彼がドペスターに詰め込んでいる男たちを見やった。