あれだけ闘いに長けていたキリアが足元に転がっている。彼の経験がベリルを相手にしたとき通用しない事に気がつかず、認める事も出来ないその慢心(まんしん)が死を呼ぶ結果となったのだろう。

 この男は私と同じく、生きる事に不器用だったのかもしれない。ベリルは己が奪った命と闘った者の死を敬うように目を閉じた。

「ば、ばかな!?」

 セラネアは動かなくなったキリアに声を震わせる。

 組織の中でも随一だった兵士が、こうもあっさりと倒されてしまうなどあり得ない。我は何を見誤ったのか。

「お前には何も残されてはいない」

 組織は私が潰す。

 ベリルは失意にうなだれるセラネアを無表情に見下ろし、冷ややかに言い放った。

「──不死も得られず、このまま死を待つのみか。この、我が!」

 口惜しげな眼差しをベリルに向ける。