「認めない。俺が、負けるなど!」

「キリア」

 何故(なにゆえ)、それほどまでに血を求めるのか、闘いを求めるのかベリルには解らない。

 それが彼の生きる意味であるのなら、私が口を挟む事ではないのだろう。終わらせろというのなら、その通りにしよう。

「そんな目で俺を見るな」

 憂いを帯びたベリルの目に嫌悪を募らせる。怒りに音が鳴るほど歯を食いしばり、ナイフを握る手に力を込めた。

 ベリルは闘いに高揚感を得ることはあっても、キリアのように求めることはない。虚しいだけの闘いに、ベリルが瞳に浮かべた感情はキリアの神経を逆なでする。

「どうして、俺の、邪魔をする」

 お前は、あのまま死んでいればよかったんだ。俺が負けるなんて許さない。ボロ雑巾のように、むごたらしく殺して捨ててやる。