──ナイフの刃が交わるたび、部屋には甲高い音が響き渡る。

「今度は助けは無いぞ」

「俺に、勝てるはずがない」

 低く、くぐもった声を絞り出す。

「負けと判断し、奴の助けを借りたのではないのか」

「言うなあ!」

 貴様などに負けるものか!

 しかれど、突き出すナイフは難なく(かわ)され、その瞬間、キリアは絶望に打ちひしがれた。
 こんなこと、ある訳がない。

 余裕だった自分はどこにいったのか。もう、刃を交えることすら出来なくなっている。全ての攻撃は読まれ、タイミングを外されてしまう。

「何故だ!」

 どうして。いつから、俺の計画が狂った。こんなはずではなかった。こんな奴に、俺の計画が阻まれるはずはなかったんだ。