「本当に、不死に?」

 アレウスは、まるで違和感を見せないベリルの動きに戸惑いつつもミレアに視線を移す。

「使ってしまった。わたしは、なんてことをしてしまったのだろう」

 あんなに否定した力を、自分の命さえも投げ出そうとしていたのに、彼が死ぬと思ったら居ても立ってもいられなくなった。

 自分の決意など、こんなにも浅はかなものだったのかと暗然(あんぜん)とするも、ベリルが死なずに済んだ事が嬉しかった。

「あなたの手で、全てを終わらせてください」

 今はただ、あなたの仕事を成し遂げてください。

「よくも、セラネア様の邪魔をしてくれたな」

 怒りに目を吊り上げ、ナイフの切っ先を突きつけるキリアにベリルは目を眇めた。

「その呪縛から、抜け出す事は出来ないのか」

「呪縛など無い!」

 声を荒げて振り下ろされたナイフを、ベリルは無表情に受け止める。