時折、痛みで細くなる目を見つめる。そこには、この状況においてまだ諦める事を知らない感情が読み取れた。

 エメラルドの瞳に吸い込まれそうになった次の瞬間──

「動いた!?」

 体が軽くなり、どうして動けたんだと手のひらを見下ろし、何度か指を曲げた。

「ベリル。これは」

 驚きにベリルに目をやると、彼の肩越しに人影が見えてハッとする。

「邪魔だ」

 キリアは不躾(ぶしつけ)にベリルの肩を掴み、瓦礫(がれき)をのけるように強く引いた。体勢を立て直せないベリルは、そのまま地面に引きずられるように倒れ込む。