その間にも、セラネアはミレアの両腕を強く掴み上げ、早くしろと少女の体を揺さぶる。その目には狂気が見て取れた。

「さあ、どうした。(はよ)う我にその力を示せ」

「うっ……。あなたは、どうして」

 ミレアの問いかけにセラネアの表情が戻る。しかしすぐ、少しの怒りを灯した。

「貴様たちは民を残して逃げた。我の一族は、置き去りにされた民たちと力を合わせ、死にもの狂いで沈みゆく大陸から逃げ延びたのだ」

 驚くミレアを一瞥し、ゆっくりと続けた。

「統率者たちは民を見捨てて、自分たちだけで逃げたのだ。なんたる愚行(ぐこう)か!」

「違う! 統率者に従わなかった者たちが、大陸に残ったんだ!」

 アレウスの声にセラネアは薄く笑い、(いや)しめるような視線を送る。