──同じくナイフを抜いたベリルにキリアが襲いかかる。しかし、思っていたよりベリルの動きは素早く、こちらの攻撃が一つも当たらない。
この体格差と怪我を考えれば余裕で勝てると踏んでいたキリアだったが、それほど簡単にはいかなかった。
ベリルの動きが以前よりも速くなっている。いや、早くなっているというよりも、こちらが動くと同時に反応している。
「どういうことだ」
奴は右腕に深い傷を負っていて痛みもあるはずなのに、何故そんな状態でこうも俺に刃向かう。
「人とは、経験を積み成長するものだ」
「なんだと!?」
たったあれだけの接触で、こいつは俺の動きを読むことが出来るようになったというのか。なんという格闘センスだ。



