「ミレア様!」

 あと数メートルというアレウスの前に、今度はセラネアが立ちはだかる。

「なんだお前は。どけよ」

 見慣れない男が放つ雰囲気に呑まれながらも、怯むことなく睨みつけた。しかし、男はアレウスの虚勢を見抜いている。

「まだ青いな」

「彼の目を見てはなりません!」

「──っ!?」

 ミレアの忠告は一歩遅く、アレウスは動かなくなった体に力を込めるが指一本すらぴくりともしない。

「その目。貴様、まさか」

 黄金色の瞳に目を見開き、怒りに目尻を吊り上げた。

「今頃気付いたか」

 愚か者めと言い放つ。

「どうした」

 ベリルは動かないアレウスを怪訝に思い、キリアを警戒しつつ近づいた。

「奴は、俺と同じ人間だ」

「ほう?」

 多少の驚きを声に乗せて男に目をやる。