「どけ!」

「俺に勝てたらな」

 憎々しげに睨みつけるアレウスを軽くあしらう。しかし、ベリルがそれを遮った。

「行け」

「すまない」

 礼を言い、ミレアの元に駆けていく。すれ違いざまに見た、キリアの冷たく刺すような瞳に顔をしかめる。

「まだやる気か?」

 性懲りもなく、懲りないベリルに鼻を鳴らした。

 何度やっても勝てるはずがない、こいつの力はすでに見ている。この短時間でここまで辿り着いた事には感心するが所詮は負け犬だ。

「また勝てるという確証でもあるのか」

「なんだと?」

 聞き捨てならない物言いに片眉を上げる。

 わずかな時間の闘いだったが力の差は、あのときに充分理解したはずだ。負わせた傷は浅くはない、ハンデを持ちながら勝てる気でいるベリルに表情を険しくした。