──唐突に鳴り響く奇怪な音に、ミレアは何が起こったのかと室内を見回した。
「我の命令は絶対だ」
セラネアは警報に眉を寄せつつもキリアを見据える。
「はい。セラネア様」
キリアの目はうつろながらも、強くはっきりと返答した。忠誠心だけが男に植え付けられた印象に、ミレアの瞳は大きく見開かれる。
「あなたは、まさか」
詰まる喉から絞り出す少女にセラネアはゆっくりと向き直り、口角を下品に吊り上げる。それだけで、ミレアの心にあった疑惑は確信へと変わった。
「どうして──?」
「全ては、その力が招いた結果だ」
低く、くぐもった声色は憎しみを混じらせて少女の胸を深くえぐった。