「なんだよ。これは」

 その恐怖にセラネアを見やると、男はただ冷たい目でキリアを見つめていた。

「貴様は我の下僕だ」

「なんなんだよ! お前!」

 セラネアの威圧的な態度に負けてなるものかと声を絞り出す。

 その、異様な光景にミレアは息を呑んだ。キリアの強さは目の前で見ている。それが、一歩も動けずにいる事に驚愕した。

「これからは、我のために働いてもらうぞ。献身的にな」

「ふざけんな」

 どんなに抗おうとしても奪われた手足の自由はきかず。セラネアの姿だけが闇の中に浮かび上がる。

 必死に保ち続けた意識はふいに途切れ、糸の切れた人形のごとく、がくんと頭を下げて体から力が失われた。

 その顔からは覇気がなくなり、鋭い存在感も失せる。