部下に無関心とはいえ、キリアの実力はよく知っている。なのに、それだけの奴が未だ傭兵一人を殺していないのかと表情を苦くした。

「すみません。奴は思った以上に手強くて。しかし問題ありません、わたしが倒してみせます」

 そうだ、奴らを完膚無きまでに殲滅してやろう。俺なら出来る。あんたのお望みのものは手に入れてやったんだ。今度は、俺が欲しいものを邪魔するな。

「では、わたしは奴を迎え撃ちます」

「待て」

 呼び止められたキリアは口の中で舌打ちし笑顔で振り返る。

「なんでしょう?」

「貴様は、前々から我に反抗的だったな」

「え? そんなことありませんよ」

 ボスとしては一流だと思っているし、俺に楽しみを与えてくれている。尊敬とまではいかないが、それなりには敬っているつもりだ。