「これはこれは。セラネア様」

 キリアは、ほどなく現れたセラネアにわざとらしく両手を広げて歓迎した。

「女は」

「こちらです」

 腰を低くして先を案内する。

「丁重に扱ったであろうな」

「もちろんですとも」

 誇らしげに応えたキリアだったが、「あのこと」についてどう切りだそうかと思案していた。

 セラネアにとって、他人の趣味や趣向など関心に値するものではない。

 ましてや、いち兵士でしかない部下の言葉に耳を貸すとは思えない。組織のトップなのだから、はね除ける事も可能だ。

 それでも話さなければ、敵は待ってはくれないし奴と戦いたい。