到着したセラネアは後ろで束ねた背中までの黒髪を手で軽く流すと、金色の瞳をぎょろつかせた。
地下は広いエントランスから、移動しやすいようにと幅広の通路が張り巡らされている。
壁は薄灰色に統一されているものの、LEDライトは等間隔に設置され閉鎖的な空間を少しでも和らげるためか、明るめの設定がされているようだ。
「キリアはどこか」
白いローブに苔色の外套を着こなし、威厳を放ちながら通路を歩く。
セラネアを初めて目にした者は、男の姿を羨望の眼差しで眺め、通り過ぎる際に深々と頭を下げた。
ちらりと向けられた視線だけでその身は萎縮し、言いしれぬエネルギーを纏っているように感じられた。



