「気にするな。私の責任でもあるだけだ」

「心が読めるのは、お前の方なんじゃないのか」

 驚いてベリルを見やる。

「まさか」

 笑って肩をすくめた。

「顔を見れば解る」

  なんだそうかとつぶやいたアレウスから視線を外す。

「彼女を救い出す事を最優先としているが。何より、あの男を放ってはおけない」

「キリアっていう奴か」

 それに頷き、窓を開けて暮れゆく空を視界全体で捉える。

「私に戦えと言う。ならば、戦う他はない」

 ベリルの瞳を一瞥し、アレウスはゾクリとした。表情の見えない顔に、緑の目だけが輝いているようだった。

 怒りと喜びが入り交じる、そんな瞳だ──

 その外見からは、傭兵だと言われてもにわかには信じ難(がた)い。しかれど時折、見せる面差しと雰囲気は確かに闘う者のそれであると、嫌でも突きつけられる。