「内容は飲み込めたな。ポイントまで移動する」

 ベリルの号令で傭兵たちは一斉に移動を開始する。各々、ジープや小型トラックに乗り込み、指示された地点を目指した。

「すまないが運転を頼む」

「ああ」

 応えたアレウスに小さく笑みを見せ助手席に腰を落とした。乗り込む際にその表情から、まだ傷が痛むようだ。

 怪我をしてからまだ一日も経っていないのだから、痛むのは当然か。アレウスは傷の状態を間近で見ているだけに、あれで本当に動けるのかと気を揉んだ。

「行くぞ」

 声を掛け、カーナビに入力されたラインを辿る。

 これでまだ戦おうとしているベリルは、真にミレア様を救いたいのだろう。

 大人しくしておけと言いたいところだが、ベリルに頼らざるを得ない今は、かける言葉が見つからない。