「キリアだけど、ボスはいるかな? 重要な連絡があるって伝えてくれよ」

 しばらく待つと、低い声が応えた。

「あ、セラネア様? 例の女を捕まえました」

<本当か!?>

 向こうの声がうわずっている。

「はい、このまま基地に連れて行って──」

<我が直接、(おもむ)こう>

 その言葉にキリアはギョッとした。まさか、オーストラリアに来るだって?

「え、いや。そこまでなさらなくても」

<ようやく、我の望みが叶うのだ>

 弾む声にキリアは眉を寄せる。

「こいつは参ったな」

 よもや、ボス本人がわざわざやって来るなんて、これは予想外だ。ベリルと戦ったあと、女を本部に送りつける予定だったのに、とんだ邪魔が入った。