──キリアは荒野を眺めながら、鼻歌交じりにジープを東に走らせる。

「あ~、スッキリした」

 ベリルの腕を刺したことと、ミレアを捕えたことで男の怒りはひとまず治まったようだ。

「さて。あいつが来る前に、基地の奴らを統率しておかないとね」

 キリアは基地の人間を使い、ベリルとの全面対決を計画していた。そのためにミレアを連れ去り、追いかけてくるように仕向けた。

 あのまま殺すことも出来たが、キリアは戦いたいという欲求にかられ、その欲望に負けたのだ。

 指揮にも長けているというのなら、それを俺に見せろ。血に飢えたお前の本当の姿を俺が教えてやる。

「一応、ボスにも連絡しておかないとね。ボスの命令だし」

 携帯端末を取り出し、車を走らせながら本部に電話をかける。