護れと言いながら信用せず、何も話さない俺たちがお前は信用しろなどとは言えない。

 隠していたのは信じていないからではなく、それなりの考えがあってのことなのだろうと自分に言い聞かせた。

「全員にヘッドセットを配ってくれ」

「了解した」

 ジェイクは応えて、手際よく全員にヘッドセットが配られる。

 アレウスの手にもそれが乗せられた。すっぽりと耳に収まるタイプで、横にいた男が使い方を丁寧に説明する。

「すまないが、車の運転を頼めるか」

「解った」

 アレウスは怒りをこらえてベリルの言葉に素直に従った。

 手の中のヘッドセットを見下ろし、今の自分には何も出来ないのだと悔しさをにじませる。

 ベリルは痛む体を椅子から起こし、ドペスターの床に腰を落とすと直ぐに医療器具を持った男が車に駆け込んだ。