「取り返したきゃ、追ってくるんだな」

「きさま!」

 キリアは睨み付けるベリルに嬉しそうに手を振りながら、ミレアを抱えて闇夜に消えた。

「──ッグ」

 ベリルは深々と突き立てられたナイフに目を眇め、痛みをこらえて縫いつけられた岩から体を引き離す。

 そして、ナイフを腕に残したままキャンプに戻った。

「ベリル!? それはどうしたんだ」

「ドペスターを──」

 驚くジェイクを一瞥(いちべつ)し、コンピュータの搭載された車によろめく足で向かう。

 両開きの後ろの扉から中に入り、腕の痛みに低く唸りつつ椅子に腰掛けてキーを打ち始めた。