「あ──!」

 はっとしたミレアに、そういえばそうだったとアレウスは頭を抱えた。

「我々の一族は、中国の山奥にいた」

 例え自分からでなくとも助けてくれと言った手前、何の情報も示さないでは済まない。

「ほう?」

 ベリルはそれに眉を寄せる。それもそのはず、彼らの顔立ちは中国を推測するにはほど遠い。

 むしろ、西洋人と言った方が納得するだろう。

「俺たちは元々、中国にいた人間じゃない。遙か遠い昔に住む場所が無くなり、流れているうちにそこにたどり着いたらしい」

「国が無くなった?」

「いいえ、大地が沈んだのです」

 ベリルは、ますますもって複雑な表情を浮かべた。

「俺たちの祖先がいたのは、大西洋上にあった大陸だと云われている」

「大西洋上──」

 昨今、再び地球が活動期に入った(きざ)しはあるものの、未だ大陸が沈むまでには至っていない。