「お前、俺に比べたら経験浅いんだよ」

 言い放つ言葉は冷たく。それをまざまざといま、見せつけられている。

「くっ──」

 実感する力の差に、ベリルは悔しげに声を漏らした。

 余裕を見せる男とは違い、ベリルの息は徐々に荒くなる。体格差だけじゃない。明らかに、キリアのレベルはベリルを上回っている。

 次に刃がぶつかりあったとき、ベリルの刃は強く跳ね返された。

「うっ」

 (ひる)んだその刹那、

「がぁう!?」

 キリアのナイフはベリルの右腕を貫き、後ろの岩に深々と突き刺さった。