彼女はいつからこんなに強く、ものが言えるようになったのか。追われる恐怖は少女から笑顔を奪い、常に何かに怯えていた。

 守る立場にあるベリルにすらも、どこか距離を置いていたはずなのに、人は少しずつ成長していくのだと見せつけられた気分だ。

「あなたは、わたしと同じです」

 少女は強い意志を宿した瞳を真っ直ぐにベリルに向ける。

「だから──だから、死にたいなんて思わないで」

 ベリルの首に腕を回し、声を震わせた。