「私は、私として、ここにいる──」

 口の中で発し星空を仰いだ。

 ベリルを傭兵として導いたのは、彼が十歳のときに施設で戦術を教えていたブルーという男だ。彼はベリルの並外れた戦闘センスを見抜き、自分の持つ全てを叩き込んだ。

 十五歳のとき、施設が襲撃を受けた際にベリルを逃がしたのも彼である。

 多くの専門家の中で、ブルーだけはベリルの正体を知らされていた。戦いを教える者として、知っておかなければならないと判断されただめだ。

 施設が襲撃され、ブルーはベリルに外への通路を指差して逃げろと促した。

 ベリルが離れたあと彼は敵の追跡を阻止するために、あるだけの爆薬を点火させた。ずしりと響いた振動を感じながらも、ベリルはその足を止めなかった。

 どうにか外に出て茂みで一夜を明かし、静まりかえった施設に戻ったが爆発の跡を目にして言葉を無くした。