彼はよく、私の頭を雑に撫でた。施設にいた頃の、ベルハース教授の大きな手を思い出す。
今でも会いに行けば、いやがらせなのか乱暴に頭を撫で回してくる。それが嫌という訳でもないのだが、そろそろ勘弁してもらいたい。
私に生き方と傭兵としての戦い方を教えてくれた彼には感謝しきれない。そんな師の名に恥じない功績は残していると思いたい。
傭兵という仕事を選んだ理由──この世界で長生きは望めない──自分の生い立ちを思慮すれば、それが最も安心出来る事だったのかもしれない。
己の足で世界を歩き、己の持つ知識や能力を活かす事が出来た。それだけで十分だった。いつA国が迎えに来ても、このまま死ぬ事になっても悔いはない。
こうして、望んだ自由を掴む事が出来たのだから。
例えこのまま、また白い部屋に戻される事になろうとも、この手で触れた世界を忘れることはないだろう。
今でも会いに行けば、いやがらせなのか乱暴に頭を撫で回してくる。それが嫌という訳でもないのだが、そろそろ勘弁してもらいたい。
私に生き方と傭兵としての戦い方を教えてくれた彼には感謝しきれない。そんな師の名に恥じない功績は残していると思いたい。
傭兵という仕事を選んだ理由──この世界で長生きは望めない──自分の生い立ちを思慮すれば、それが最も安心出来る事だったのかもしれない。
己の足で世界を歩き、己の持つ知識や能力を活かす事が出来た。それだけで十分だった。いつA国が迎えに来ても、このまま死ぬ事になっても悔いはない。
こうして、望んだ自由を掴む事が出来たのだから。
例えこのまま、また白い部屋に戻される事になろうとも、この手で触れた世界を忘れることはないだろう。



