「ふむ」

 ベリルはジェイクの背中を見送りながら思案した。相手の情報が手に入った事は喜ばしいが、その組織からどうやってミレアを守ればいいのかが解らない。

 今までの状況を考えると、そう簡単には彼女を諦めないだろう。終わらない仕事を続けられるほど資金がある訳じゃない。

「いっそ、組織を潰せれば良いのだが」

 難しいが出来ない事ではない。

 小さな組織は何度か潰してはいる。しかれど、今回のような巨大な組織はこれまで相手にしたことはない。

 十五歳で傭兵に弟子入りをして十八歳で独り立ちした。

 師が大きな傷を負い、その後遺症のため引退したことにより、わずか三年で半ば強引にフリーにさせられた流れだ。

 全てを知ったうえで変わらず私に接し。ともすれば、己が何者であるかを忘れて彼と同じ存在であると錯覚さえすることもあった。

 それでもふと我に返り、私は違うのだと思い知らされるときがある。