「調べ物、ですか?」

 案の定アレウスが説明すると、ミレアは少し陰りを見せた。

「それなら、仕方がないですね」

 わたしは大丈夫とアレウスに笑顔で返す。護られている立場として、我が儘を言う訳にはいかないという意識なのだろう。

「俺の運転では、心許ないと思われますが」

「そんなことはありませんよ」

 ミレア様は、自分の感情をどのように理解しているのだろうかとアレウスは気を揉んだ。

 今まで見せたことのなかった少女の反応に、今後どう彼女を護ればいいのかと計りかねていた。

 ベリルへの熱い視線は少女の憧れからなのか。はたまた、恋なのか──

「俺に、解る訳がない」

 後部座席で伏せているミレアを、バックミラー越しに視界に捉えて再び溜息を吐き出した。