──次の朝、ベリルは詳細を述べずに昨日の事をアレウスに尋ねてみた。

「ミレア様がそんなことを?」

 傭兵たちと談笑しているミレアを見つめ、アレウスはしばらく考え込む。

「ミレア様は、いくつかの力を持っている」

「ほう」

 まさか、また訳のわからない話になるのかと心持ち目眩がした。

「その中には、一度しか使えないものもあるんだ」

「ふむ」

「俺たち種族は昔からそうやって、数々の能力を宿してきた。特にミレア様、統率者の血筋にはいくつもの力を持って生まれる者が多い」

 無くした能力が産まれた子どもに再び備わる事もあるという。

「不思議な種族だな」

 ベリルは尋ねた事を半ば後悔した。

 自分の知らない事など、世界には数え切れないほどある事は理解しているつもりだが、説明のつかないものはどうにも納得しようがないもので出来れば勘弁したい。