キャンプに戻ったベリルは、いくつも灯されているたき火の一つに近づいて腰掛ける。すると、少女はそんなベリルの右隣に躊躇いもなく腰を落とした。
まるで、懐いてくる子犬のようだとミレアを見下ろす。年齢差からいっても、彼女がベリルを慕うのは自然な事なのかもしれない。
キャンプは先ほどの命のやり取りが嘘のように、静かな夜を過ごしていた。
ミレアはあの件についてはもう心配ないと言っていたが、どうしてそう断言出来るのか。初めから不可思議な部分のある二人だが、こちらを騙している素振りはない。
しかし、どこまでを信用していいのか──ベリルは考えあぐねていた。
ふと、右側に重みがかかり目をやる。少女はベリルの肩に頭を預け、見下ろした青年にあどけない笑みを見せた。
「このまま寝てもいいですか?」
「構わんが」
「おやすみなさい!」
眉を寄せるベリルを意に介さず、ミレアは嬉しそうに目を閉じた。