──彼女は何をしているのだろう。

 ベリルは、まるで人形のように固まったまま動かないミレアを見つめる。ゆっくりとした呼吸に生きていることを確認し、肩を支えた。

「──っはあ、はあ」

 突然、目を覚ましたミレアが大きく呼吸して額の汗を拭う。

「ミレア」

「大丈夫です」

 疲れた様子ながらも明るく笑いかける。

「これでもう心配はいりません。あの男は、あなたのことを誰にも話せません」

「どういう事だ」

 この数分の間に何が起こったのか理解できずに困惑する。

「わたしの力の一つです。この力はもう、使えなくなりましたが」

「そうか」

 やはり、どういう意味なのか解らずにベリルはとりあえず言葉を返した。