いがみ合い、争い合う人類が唯一、一つとなっているお前は人類の理想なのだと……。そんな私が、己のために他人の血を流してまで自由を得る事など出来はしない。
「ベリル……」
ミレアはしばらくベリルを見つめたあと、意を決したように目を吊り上げた。
「わたしなら、どうにか出来るかもしれません」
「何?」
「わたしはあの男とほんの一瞬ですが、目を合わせました。まだ、つながりがあるかもしれません」
「つながり?」
「集中します。支えていてくださいね」
いぶかしげに見上げるベリルに構わずミレアは腰を落としてにこりと笑い、手を胸の前で組む。そして静かに目を閉じた。
「一体、どういうことなのか」
よくは解らないが、何かをしようとしているらしいとベリルはその様子を見守る事にした。



