「むしろ、あの男の方が人間ではありません!」

「うん?」

 勢いよく立ち上がったミレアにいぶかしげな目を向ける。

「あの男の姿を見たとき、背筋が凍りましたもの!」

 鼻息荒く発した少女に生温い笑みを返した。

 とはいえ、

「奴に知られてしまった以上、今のままという訳にはいかないだろう」

 ミレアはそれにハッとした。

「まさか、あなたは」

 あの男がその情報を流してしまったら──

「あなたは、素直に従うつもりなのですか?」

 A国が迎えに来たら、それに従うの?

 ミレアの愁いを帯びた瞳を見やり、視線を宙に移した。

「逃げ続ける事は出来ない。私はそうまでして自由は望まない」

 誰かが傷つくことは私の望むものではない。

「お前は人類の理想なんだ」──施設が何者かの襲撃を受けたとき、一人の男がベリルに言った。