自分たちが何に関わっていたのか知らず、無慈悲に命を奪われていく人々を救うことが出来なかった口惜しさがひしひしと伝わってくる。
彼は、心で泣いている。
「皆、あなたを救うために頑張ったのでしょう?」
ミレアは喉を詰まらせながらも、どうにか声を絞り出した。
「何故そうだと思う」
「だって、解ります」
あなたはここにいて、私を助けてくれている。もうやめだと放り出すことだって出来るのに、そんな優しいあなただからこそ愛されたのだと思います。
「あなたは人間です」
その言葉に偽りはないのだと、見上げる赤い瞳は揺るぎなくベリルを捉えて放さない。
「ありがとう」
口の中でつぶやいた。
自分の存在を誰かに認めてもらいたい訳ではない。しかし、そういう人間が一人くらいいるのも悪くはない。



