「あの施設には、チームリーダーのベルハース教授を含めた研究メンバー十人と専門家、警備を含めて三百人がいた」

 研究チーム以外の人間は私の正体を知らなかったが、それなりに愛してくれていた。

「私の勘違いでなければだが」

「ええ。きっと皆、あなたを愛していました」

 あなたを見ていれば解ります。

 少女の柔らかな面持ちにベリルはやや戸惑う。これから語ることを、ミレアはどう感じるだろうか。

 それは、彼が施設ではなく、ここにいる理由に他ならない。

「十五歳のとき、施設が襲撃を受けた」

 声もなく目を見開く少女を一瞥し、目を眇める。

 どこから施設の情報が漏れたのかは解らない、襲撃の明確な理由も解らない。

「私のために、三百人が命を落とした」

 それだけは明らかだ。そうでなければ、あの施設を攻撃する意味はない。ベリルの目には悔しさが見て取れた。