「私はそれが苦痛では無かった」

「だから、そのような物腰なのですね」

「ん? ああ。マナーも教わっていたよ」

 そんな所が気になっていたのかと感心し話を続けた。

「年に一度は政府から視察が訪れていた。視察員にほぼ、人間扱いされる事はなかったがね」

「そんな──」

「パッチワークと呼ばれた事もあった」

「酷い!」

 どうしてそんなことが言える人がいるのかとミレアは目を潤ませた。

「数日滞在するだけの相手に何を言われても辛いと感じた事はない。間違った表現でもないしね」
「いいえ! そんな言い方は、あんまりです」

 少女の怒りに苦笑いを浮かべる。

「最後の視察員には、友達になろうと言われた」

 彼女を元気づけるように付け加えると、曇っていたミレアの表情が明るくなった。