「何から聞きたい」

 軽く足を組み、ミレアに目を合わせずに聞き返す。

「あの人が、キメラと言っていました。どういう意味なのですか」

「そのままだよ。つぎはぎの生き物だ」

 抑揚のない声だが、少女は耳にした言葉に表情を曇らせる。ベリルはそれを一瞥し、自分を落ち着かせるために一度、瞼を強く閉じた。

「意地悪い言い方をした。すまない」

 頭を横に振るミレアに目を細め、満天の星空を仰いだ。

「つぎはぎという言い方は、あながち間違いではない」

 静かに語り始めたベリルの声をしっかりと耳に捉える。

「深い森の中に建てられた施設に、私はいた」

 心を決めたが、やはり話すことは恐怖でしかない。師であるカイルに話し、もうこれ以上は誰にも話すことはないと思っていた。