「話したくないと言ったら」

「無理に聞き出すわたしは、悪い子ですね」

 本当に折れる気はないらしい。

 少女の瞳は戸惑い混じりにではあれど鋭く、好奇心だけではないのだと伝えている。ベリルはそれに小さく溜息を吐いた。

 このまま無視し、戻って仲間たちに質問をぶつけられても困る。とはいえ、話したくないのは本当だ。気楽に話せるものならと苦い表情を浮かべる。

 ベリルはしばらく黙ってミレアを見つめ、諦めてくれないだろうかと淡い期待を寄せた。しかし、そんな気配はまるでない。

 根負けしたベリルは二度目の溜息を吐き、近くの倒木に腰を下ろした。

 ミレアもその隣に腰掛け、ベリルの顔をのぞき込む。顔色に変化はないけれどエメラルドの瞳は揺れていて、話す事柄を慎重に選んでいるようだった。