「人を殺した時の感覚、好きだろ?」

 澱んだ青い目がベリルを見つめるが、それには応えない。

「否定も肯定もしないんだな」

「どうせどちらの答えも、お前を喜ばせるだけだろう」

「さっすが! よく解ったね」

 さも楽しげに指をパチンと鳴らしてベリルを指差した。

「でも。これを聞いたらきっと、あんたは俺に従うようになる」

 サファイアの瞳を輝かせる。

「ミッシング・ジェム──って、知ってる?」

 紡がれた言葉に、ベリルの心臓が激しく鼓動した。

「人類の中にあって、人類の歴史の中には無い方がいい存在のことだってね」

 キリアは、ベリルの顔色を窺うようにゆっくりと丁寧に発する。

 そこに存在していても、諸々(もろもろ)の理由により、あってはならないとされる存在。それが、ミッシング・ジェム。