「これは最高だ!」
データ室のキリアは、ベリルを監視していた者から届いた映像に、バンバンとデスクを叩いてヒィヒィ笑っていた。
「ずいぶんと楽しそうだ」
それを見ていたマイクは、聞こえないように口の中で発し眉を寄せた。
「ま、まんまと誘導されてるじゃないか」
完璧にこちらの動きを読まれている。
遠方からの撮影で音声までは録音されてはいないため、詳しい状況は解らない。しかし、それなりの度胸はあるようだ。
囲まれてなお、焦りなど少しも垣間見えず淡々と倒していく様子に嬉しくて身を震わせる。
そのとき、キリアの端末が着信を伝えるため震えた。
「どうだ──なんだと!? 失敗した? ふざけるな!」
受けた報告に腹が立ち、端末をデスクに投げつける。
「雑魚を送った訳じゃないぞ」
怪我の後遺症で片足を引きずっているんじゃないのか。それでも勝ちやがるとは、さすがはあいつの師匠ってところか。
これじゃあ余計にベリルって奴が気になって仕方がない。
「ちょっとだけ、挨拶しちゃおうかな」
「え?」
聞き返したマイクに応えず笑みを浮かべた。