あそこまでの存在感はそうあるものじゃない。
どんな生き方をしてきたのだろうか。
落ち着き払った雰囲気と上品な物腰、そしてその独特の口調。誰もが彼の生い立ちに疑問を抱く。
とはいえ、彼ら傭兵の間では触れてはならない領域なのだろうか、それとも暗黙のルールなのか。それについて問いかける者はほとんどいない。
それだけ、過去に何かしらの傷を持つ者が多いということなのだろう。
ベリルは誰にも増して己の命を重きに置く事はなく、自身の限界を引き出そうとしているのか、はたまた己を犠牲にしたいのか。
それはまるで──
「まるで、死にたがっているようも、見える」
ぼそりと宙につぶやいた。
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