「乗りかかった船だ。途中で降りる訳にはいかない」

 冗談めかしに肩をすくませる。ジェイクはそれに口の端をつり上げた。

「お前らしいけどね」

「金は使って初めて価値を持つ」

 冗談混じりに発したベリルを右肘で軽くこづいた。

「だったら恋人くらい作れよ。ガンガン消えてくぜ」

「遠慮しておく」

 苦笑いで応えて移動準備を手伝うため仲間の元に向かう。

「カタブツめ」

 その顔ならいくらでも女は寄ってくるだろうにと溜息を吐き出した。

「女に興味無いなんて、勿体ねえよなあ」

 ベリルは色恋沙汰にはまるで興味が無い。中にはそういう奴もいたが、特に女で失敗したという訳でもなさそうなのに、あの若さでだとはと驚きを隠せない。