「早く俺の番が来ないかな」

 通路を歩く足取りは喜びからか軽く、鼻歌までもがついて出る。

 そうして自室に戻り、薄暗い空間で喉の奥から笑みを絞り出す。

 これほど楽しみだと感じたことが今まであっただろうか。

 組織の兵士も育成しているキリアだが、ベリルはまさに天性の才だと感心した。判断力、決断力において秀でるものがある。

 さらにキリアは、ベリルから自分と同じ臭いを嗅ぎ取っていた。

「ククク──」

 明かりを点けもせず、静かに低く不気味に笑う。まるで久しく会えない恋人のように、対峙するその時を待ちわびていた。