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目を覚ませば、目の前は白い天井だった。


体を起こすと、右足に小さな痛みが走った。


辺りを見渡すと、そこはカーテンが引かれている、保健室のベットの上だった。

しばらく時間がたち、ぼーっとしていたのが覚め、やっと今の状況がはっきりし、すぐに尚の顔が浮かんだ。


最後に聞こえたのは、やっぱり尚の声だったと思う。


今すぐにでも、尚の顔が見たくてベットから降りると、カーテンの向こう側から微かに「ん…」という声がした。



「…尚?」



恐る恐る、カーテンを小さく引き、顔を覗かせてみると、そこには窓の外からの隙き間風に揺れる、色素の薄い綺麗なミルクティー色髪の彼、大好きな尚が寝ていた。



しばらく見つめていると、カーテンが引かれる「シャ…」という音がして、驚いて振り向くと「あら、起きたの?」と保健の先生がいた。



「彼が、あなたを抱えて連れてきてくれたのよ。」


「え」


「彼も、少し頭を打ったみたいだから寝てもらったの。あなた、足は大丈夫?捻ったみたいだから、湿布貼っておいたからね。」



自分の足をみると、綺麗に湿布が貼られているのがわかった。


自分が頭を打っていないのは、やっぱり尚が助けてくれたのかもしれない。



「これから、ちょっと用事があるから」と、保健の先生は保健室を出た。


ここには、あたしと尚の二人だけが残された。



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