彼氏キケン地帯



少し恥ずかしそうに俯く尚の心情は定かでないけれど、ポツリポツリと尚が話し出したことに嬉しくなった。



「俺…おまえと出逢うまで……いろいろやってた。」


「うん…」



そこまで言うと、ポリポリと頬を小さく掻いて、あたしの様子を伺うようにちらりとこちらを見て、言うのを躊躇う様子。

尚らしくない仕草…と思うけれど、いまだに尚の素がわからない。



いつもにこにこしていて、時間厳守で優等生。

ふわふわした雰囲気で、どこか抜けてるような彼は、みんなに好かれていてみんなに癒やしを与える存在だった。


可愛らしい雰囲気に呑み込まれて、ときどき一緒に時間を忘れてしまったりしたけれど、いつも優しくて…


あの笑顔を見たときから、ベタぼれだったあたしは、毎日というか、毎時間というくらい尚のクラスに行った覚えがある。

唯一、同じクラスで同じ時間を共有できる委員会の日には、放課後になるまでの時間がより長く感じた。


尚に呼び出しされたときには、ウキウキで小さな期待が現実になり、その日死んでもいいと思ったくらいだ。


『犯すぞ…!!』


嗚呼!

あの日は強烈だった。


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