自分のシャツに鮮やかな血痕。
尚を見ると、鼻を抑えている。
な、なんだ。
この状況は。
いまいちよくわからないけれど、まだ尚に片手で両手を束ねられていることはわかる。
目の前で、尚が頬を赤らめ鼻を抑えていることがわからない。
「ナ…ナオ…?」
眉を潜め、恥ずかしそうに俯く尚に、あたしはとりあえずティッシュを渡した。
―――……
―――…
「大丈夫?」
鼻血が止まっても尚、不思議そうに眉を潜めている。
え?
尚って、遊んでたって言ってたよね。
キスはもちろん、それ以上だって中学のうちに経験済みなんでしょ?
彼女だってかなりいて、あーんなことやこーんなことを…してたわけでしょ?
「…なんで?」
「俺だって知るか!!」
鼻を抑えて、尚があたしを見る。
じろじろと見て、ため息をつかれた。
「こんなことって…あるかよ。」
「へ?」
「んでもねーよ。」
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