あたしの中で、男の子の部屋って、黒と白っていうイメージがなぜかあったのだけれど、尚の部屋は茶色っぽい。
色素の薄い感じ。
尚そのものみたい。
床を見ると、雑誌や衣類が散らかっている。
そこであたしに訪れたのは母性本能。
“片付けてあげたい”
という、どこから来たのかわからない感情が脳内を埋め尽くした。
ドカッとベッドに座る尚を余所に、片付けを始めてしまった。
にやにやとした視線を感じる。
な、なんだこの視線は。
舐めまわすように見てくる尚の視線に、いたたまれなくなる。
ある雑誌を手にしたときだった。
「ひぇッ?!」
バサバサ…っ
谷間を強調させたお姉さんが表紙だった。
こ、このくらいは…
だって、男の子だもん…っ!
自分にそう言い聞かせながら、近くにあったDVDに手をかけた。
小さく尚の笑みが見えたと思えば、DVDのパッケージに目をやると…
「ひャッ?!」
ガン!!!
でかでかと、“緊縛SMプレイ”とかかれた、見るのも恥ずかしいパッケージ。
勢いで投げてしまった。
「おいおい、大事にしろよ…」
そのDVDを恥ずかしげもなく手にとり、あたしにこれでもかと見せつける尚。
「友達から借りたもんなんだからさぁ。」
手首を引かれ、嫌がるあたしにDVDのパッケージを見せる尚。
目を瞑るしかなく、恥ずかしさに頬を染めていると、チュッと唇に柔らかなものが触れた。
「へ?!」
驚いて目を開けると、ほぼ裸のお姉さん。
DVDのパッケージを至近距離で見ることになってしまった。
「いっ意地悪ッ!!!」
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