信じられなかった。


あたしが初めて会ったとき、尚は優しそうで、かっこいいというより可愛い感じで…


“不良”の“不”の字もないくらいの優等生だった。


今時珍しいくらいのきっちりとした制服の着こなし。


一点の曇りもない澄んだ瞳に、三ヶ月経ってやっと手を繋いでくれたというスーパー硬派。


尚は、あの日階段から落ちて変なとこ打っちゃったから、こうなってしまっただけで…


決して、グレたとかなわけじゃなくて…





「ごめん。蜜希。」


「え…?」




尚があの日、人格が変わってしまったんじゃなかったとしたら。




「うそ……だよね?」


「全部ほんと。」




尚の本からもっていた性格だとするなら。




「え…」




あたしが今まで好きだった尚は、なんだったの?



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