いつになくクールな尚の横顔だった。
以前のような、ふわ〜っとした雰囲気でもないし、可愛い笑顔はなかなか見れないけれど、今あたしの目の前にいる、凛とした強気な彼だけれど。
サボリ魔だし、遅刻魔だし、制服崩して着てるけど…最近、不良化してしまったけれど、それでも…それでも…
「は?!え!!ななな…泣いてる?!」
「あ。ほんとだ…」
あたしは、自分でも気づかないうちに、ポロポロと涙が溢れていた。
手で拭ったけれど、まばたきをするたびに涙の粒が落ちてきた。
わけもわからず溢れ出た涙に困っていたあたしに、尚はびっくりしているようで、そしてすぐに女の子四人と向き合った。
「おい…まじ、誰だよ。こいつ泣かせたの…。」
…低かった。
地の底から湧き出たような、聞いたこともない低い声だった。
「えっあっ…あたしは違っ」
「あたしだって!ねぇ?」
四人は口々にそう呟いては、尚の顔をうかがいながらビクビクしていた。
その反面、尚はすごく優しい声であたしに話しかけた。
しゃがんで、あたしの顔を遠慮がちに覗き込む。
「大丈夫か?やっぱ…なんかされたんか?」
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