だからって、あたしはめげないんだから!


「尚くん…」


尚くんの制服の裾を小さく掴み、上目使いで尚くんを見る。


「…蜜希ちゃん。」


ゆっくりと、尚くんの手があたしの頬に触れる。


(嘘?!嘘?!)


尚くんは、ゆっくりとあたしの顔に近づいてくる。



ついにきた!

ここでようやく、念願のファーストキスを捧げられる。


あたしは、ゆっくりと瞼を閉じた。





不意に、尚くんの指があたしの瞼近辺に触れる。



「…ハイ、もういいよ。目開けて?」


「え?」


え?え?え?


キス、終わったの?

何?え?唇になにも触れませんでしたよ?


何?その、お医者さんの「ハイ、診察終わりましたよ。」的な言い方。




キスって、そんなもんかぁ?!


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